とある事務方の備忘録

いち事務方の「私はこう考える」ブログ

とてもよくあるかんちがい

衆院でも十数年、参院ではお初の政倫審(政治倫理審査会)やら、両院で5年以上切られていない証人喚問やら、あれこれ話題が変わるので、訳がわからない人も多いかと。

 

事務方としていくつか思う勘違いのまとめを。

 

①党は派閥より偉い→❌

党の職員さんに聞いても「わからないんですよ」と答えるのは当たり前で、中選挙区から小選挙区になってからも派閥はアンタッチャブル

現総理(旧宏池会)が「他の政策集団(旧清和研、旧志帥会)のことは正直よくわかりません」と言ってるのは、実は凄く当たり前のおはなし。総理大臣ですらよその派閥の腹の中は知らない。

 

②議員は職員より偉い→❌

「んなわけねーだろ」と思う人が「んなわけねーだろ」なのが永田町。選挙を勝ち抜いた、民意の代表者たるバッジ(国会議員)も職場のルールが分からないうちは事務局に頭が上がりません。

ベテラン秘書を最初は事務所に入れて軌道に乗るまでおんぶにだっこ…なんてよくあること。

 

これは組織系の政党ではより顕著。

公明は女性とカネの不祥事に厳しい(教育・福祉が看板の党であること、学会女性部が応援その他を拒否すること等)ので、やらかした瞬間に首がすっ飛ぶ(私が知るだけでも、3人瞬時にすっ飛んだ人がいました)、

共産は事務所の垣根なく、各政策担当のベテラン秘書が前に出てくる(例:A衆院議員の農水関係の質問準備で、なぜかB参院議員の秘書が照会)など、

名はともかく実として、事務局・組織のベテランがバッジより偉いなんて日常茶飯事。

 

③いわゆる裏金があった議員は全員クロ→❌

告発が趣味のあの人は全員クロと言ってますが、永田町・霞ヶ関界隈の最大ルールは「先例重視」です。

②のようにわからん状況で、事務局にこうやってください!なんて言われたらば、違法性も疑わず従うでしょう。

 

もちろんそこに過失を見出すこと(収支報告を修正して謝れ)はできますが…

若手・中堅からすれば、先例が間違っていたことを気付けない内輪環境で、「裏金!」「脱税!」と故意犯呼ばわりされるのは納得がいかない、と内心忸怩たるものはあろうかと。

 

この点について、新潮か文春に清和研・柴山昌彦文科相へのインタビューがありました。還付金を記載しようとしたら、派閥に「こっちで処理するから、あんたは何もするなよ」と止められたとのこと。

柴山先生のような弁護士らしい、よく言えばクソ真面目、悪く言えばウソがヘタクソなエブリデイ正論おじさんでも被弾した理由がわかるとともに、それだけ旧清和研の事務局側が強いのかと私個人は感じたエピソードです。

 

④証人喚問すれば事実が明らかになる→❌

そもそも論ですが、証人喚問は「刑事的に真っ黒が明らかな人」の尋問に使うのが本来のあり方(小泉政権耐震偽装の人とかが一番イメージをしやすいかな?)なので、

 

  • うさん臭いビジネス右翼教育者

 

 

こんな人達に使っても何も新しい事実は出てきませんし、今の言った/言わない・記憶の食い違いゲームの段階で使っても偽証もクソもないので、

「闇はますます深まった…」

という、ゲームや漫画に出てきそうなオチになるだけです。何が酷いって与党はもちろん、野党もこのオチになるのが分かってます。

 

この点、立件された人ならばいきなり証人喚問カードもアリだろうけど、逆に裁判/司法の手続に障るんや…と呼べないのか。

 

※このウルトラ勘違いについては市井の知らない「セーリンシン」「証人喚問」をさも魔法の杖、ドラえもんひみつ道具SSRアイテムのように報じるマスメディアの罪もあると私は思います。

 

※なお、証人喚問でも「それは刑事訴追の可能性があるので、お答えを差し控えます」という裏技的回避方法もあることはあります。

 

つらつら…と思うことを。

幹部の知らぬ存ぜぬ、後からやっぱり知ってたわ思い出したわ…の姿勢を良いとは思いませんが、それに振り回される若手中堅のやり場のない思いには一定の配慮あるべき、と思うのがいち事務方の感想です。

 

ここまでに。