とある事務方の備忘録

いち事務方の「私はこう考える」ブログ

憲法記念日に贈る

5/3、今年も憲法記念日を迎えるに至りました。

 

例年と異なり、今年はいよいよ国民投票法が改正か、という年。

中身は国民投票の環境を現行公選法に合わせるというものですが…憲法改正に進ませまい、という話から中々議論が進まない状況が続きました。

 

「『結論を得る』の解釈は多々ある」という逃げ道も既に指摘されていますが、やはり結論というのは賛否問わず、採決を指すのではないかと。

GW明けには然るべき対応が取られることを期待します。

 

さて。

9条や緊急事態に関しては、詳しい方がつらつら書いてくれそうなので、私は合区解消論について再び取り上げたいと思います。

 

今年の共同通信調査でも33%が憲法改正での対応と回答していますが、

48%が法改正での対応(『憲法の改正でなく、1票の格差是正と「合区」解消を両立させるための選挙制度の抜本改正を法律で行うべきだ』)を主張。

 

いつも通りの数字ですが、ともあれ、

「人口を理由に代表が出せない県がいる不平等状態には問題があると思う」認識を8割方の回答者は持っている、

つまり合区はアカン派が8割と解釈します。

 

ここで法改正対応をどう受け取るかが問題になりますが、朝◯新聞・東◯新聞や元毎日のナントカ太郎さんみたいに

「較差と合区を同時に解消できるブロック制しかない!」

と考える人はその先を見ていません。人権屋にはたいへん評判がいいかもしれませんが(笑)

 

ブロックとは聞こえはよくても範囲の広い合区、域内の都道府県数に配慮した定員配分をしたとしても、人口多数県に地盤を持つ側と少数県側では有利不利の差が大きく付きます。

2県合区でも、候補者と地縁の薄い側の県の投票率が下がる+無効票が増える現象が見られています。

候補者本人の顔を見られる機会が減少する、どこまでがブロックの範囲か認識しづらい(特に埼玉や山梨)この制度で同じ現象が起こらない、とはまず考えられません。

 

投票価値がどうこう、という人権ヅラした算数を封じるならば、多々の論説・社説にある通り、衆参の役割分担、参院のあり方の検討と改革の実行が必要です。

今のままでは「ねじれ」の折の様に参側が強く、民主的正当性=較差3倍〜2倍への是正を求められるのはやむなし…

カーボンコピーの汚名を返上して、国民にも分かる衆院との違いを見つけなければならない。較差という算数よりも、上院化、衆との違いの模索…そうした議論をすべきでしょう。

 

しかしながら、ブロック制を望む党利党略(主に①全国的上位下達組織を持つ宗教的な2党、②関西州・近畿ブロックという大阪圏を実現したい党)が絡み、

較差是正は司法の要請、参院弱体化は断固反対、都道府県代表は自民の利権、といったもっともらしく見えるクソ話に持ち込まれます。

 

どうしても法改正で…という中で、ひとつの解決策として思いつくのは、

  1. 自民が改正第47条に持ち込む内容を国会法や公選法といった憲法付随法に規定する
  2. 地方代表的性格を更に強め、①衆側と対等の権限の放棄、②地方六団体もしくは単体の首長・議会との協議の場の設置(もしくは行政監視委員会がそれを担う)
  3. 合区を解消する(2合区分の定数4は埼玉等から捻出、比例から4転出、もしくは4増)

でしょうか。

較差は4倍台に戻り、最高裁はまず違憲状態というでしょうから、堂々と1.の内容を憲法改正すればいい。フランス・クオータ制のやり方ですね。

 

ここでもうひとつ必要なのは、自民側の意識改革でしょう。

  • 最初の憲法改正は9条でないといけない、という9条信仰を捨てる(所謂改正4項目に順序付けをする)
  • 参院ばっかり…」という衆院側のやっかみを捨てる(衆院は多数民意反映の府、政権選択の府として、一定の較差是正義務を引き受ける)

この辺りで一枚岩になれないと話になりません。よくよく考えていただきたいところです。

 

長くなりましたが、投票価値の平等、較差是正をお題目にした算数教室裁判を、令和時代にも風物詩にしてはいけない。心よりそう思います。

自然災害対応、コロナ禍でも活きた都道府県」というわが国の骨格をなんらかの形で憲法に書き込むとともに、

衆参の権能の分化、国民に分かる二院制のあり方を、是非是非検討していただきたいものです。

 

憲法記念日の、事務方の私見でした。