とある事務方の備忘録

いち事務方の「私はこう考える」ブログ

「参議院は、強くなければならないんだ」

吉田博美参議院自民党幹事長がお亡くなりになられたと聞き、俯かざるを得ない日でした。

以前書いた内容と重複する部分もありますし、政治に関心ない方にはそもそも△かもしれませんが、ご容赦賜ればと存じます。

 

訃報を聞いても、市井には「吉田博美って誰?」と思う方が多いかもしれません。

私の記憶が正しければ、国交政務官以外は政府の役職を引き受けず、ひたすら党務で活躍された方です。

 

かの下北道路の際に名前がよく広がりましたが、実物は悪の親玉というより、常に周りに気を配り、与野党双方の顔を立てる謙虚で、丁寧な方でした。

榛葉先生など野党側の重鎮にも慕われているのは、公然の事実です。

 

そして何よりも下々、我々事務方にも声を掛けたり労いを忘れない方でした。

お茶目なおじいちゃんのエピソードは数多く…かつてエレベーター内で疲れ切っていた私にかけてくれた言葉、そして笑顔に、精神的に救われたこともありました。

 

番記者の方には、吉田先生がいるからと配置換えを断った方がいる、とも聞いています。時には英語でジョークを言って笑わせ、番記者の緊張をほぐしてあげたというエピソードも。

ある後輩議員に、「自分・自分・自分じゃなくて感謝・感謝・感謝で行きなさい、感謝を忘れちゃダメだよ」とアドバイスをしたこともありました。

 

与野党間で利害を調整する、参議院としての機能と独自性を追求する、衆議院と違って時には政府に物申す。

様々なプレッシャーに耐えておられた中でも、辛さを周囲には感じさせずに、最期まで走り抜いた。そう考えると、やはり目に涙が浮かんできます。

 

お悔やみ、ご冥福というフレーズでは片付けられぬ心境ですが、吉田先生の口癖からひとつ思うのは…

 

参議院は、強くなければならないんだ」

 

無駄なカーボンコピーだ、一院制にすべきという声もある中で、参議院は国家国民の為に何を為すか…常日頃から、吉田先生は考えておられました。

 

行政監視の府、地方行政の府…参議院の在り方や権能については、与野党間や自公間でも意見が異なるのは存じています。されど、70年前と違うわが国で、伝統しか取り柄のない参議院であってはならない。

遺された方々は参議院のあるべき姿、果たすべき役割を追い求め、手段が憲法改正や国会法・参院規則の改正にせよ、何らかの形で目に見える結果を出すことが、最大の報恩ではないかと考えます。

 

バッジすらない事務方の、生意気な駄文ですが…

議会人、政治家のひとつの範であった吉田博美先生という方、ご活躍そしてご遺志を、どうか皆々様、忘れないで下さい。

 

 

※10/28追記

昨日の産経田中一世記者の記事、そして今日の読売木村優里記者の記事を拝見しました。多くの人の心に、語り継がれますよう…