とある事務方の備忘録

いち事務方の「私はこう考える」ブログ

参議院の特定枠の話 アフター

自分用兼ねて、参議院選挙、特に特定枠の話を整理します。

※1年前の日記はこちら→http://toarujimukata-s.hatenablog.jp/entry/2018/07/14/235917

 

此度の夏の参院選では自民、れいわ、労働者の3党が特定枠を活用し、うち前2党が当選。

自民三木先生・三浦先生はそれぞれ徳島県島根県の合区対象県の代表として、れいわ舩後先生・木村先生は重度の障がいを持つ方々の代表として、いずれも多様な民意を反映する参議院に相応しいのではないかなと思っています。

 

舩後先生・木村先生の当選により議場バリアフリーや、ALSや脳性まひを持つ方々へのアプローチの議論も起きています。

時に否定的な声も聞こえますが、一億総活躍と言うならばいつか対応せねばならぬ話が前倒しになったもの、と私は思っています。ハード面はもちろん、今後の日程闘争…特に生産性の低い深夜戦術等も。

 

特定枠の是非については、自民のみ活用していたら「地方に強い自民の党利党略」という批判が続いたと思われますが、れいわ等の活用により否定的な声も出づらいのではないか、とも。

※「地方に強い自民」というのも、鳥取・福井以外は民主系も強く、一概に当てはまりませんが。

 

選挙期間中も東洋経済等が特集し、選挙後にも議論がありますが、よく耳にするのは

  ①100万票近く取った人が落選したのはおかしい

  ②特定枠はやはり政党側が通したい人を押し付けるものだ

  ③特定枠の人に選挙運動を認めないのは彼らに票を稼がれると他の比例候補者が困るからだ

という話でしょうか。

 

①に関してはドント式+活用するしないは政党側の自由であり、やむなしかと。票数の多さは認めますが…それは絶対的正当性ではない。

非特定枠の方が活動して、特定枠の舩後先生・木村先生の分も党の票を集めるのは正しい戦略ですし、3年後やその先も取り得るスタイルかと。

※なお、一部衆議院議員、特に総理大臣等との得票数と比較している方がいますが、小選挙区参議院比例代表有権者の分母等前提条件が全く違いますので、念のため。

 

②に関しては捉え方次第であり、また公選法改正時に「使い方を含めて有権者が政党を評価する制度」なる答弁もあり、その候補者が参議院に相応しいかで考える話かと。

経緯は心中複雑なので略しますが、島根の特定枠が新人の三浦先生となり「自民の現職救済」という声も少しトーンダウンしました。

人口少数地域や重度の障がいをバックグラウンドに持つ方々は国政上有為な人材と認められ、政党から有権者に押し付けられたものだとは私はあまり思いません。

 

③に関しては昨今報道でたまに見かけるのですが…はて、そんな事を言った方がいたのでしょうか。

勿論、非特定枠の比例候補側からしたら、政党名票と変わらない特定枠の方の名前を書かれるより自分の名前を書いてくれた方が有難いのは事実ですが、邪推し過ぎではと。

 

特定枠の方は優先的に当選するから、非特定枠の方のように順位付けがされない→名前を書いてもらう必要がなく、自然と他の候補者とは選挙運動の毛色が変わる、というだけでないかと。

衆の総選挙にも比例単独候補には選挙運動の縛りがあった気がしますが…少なくとも昨年、特定枠候補の活動の縛りに対しそうネガティブな理由は聞こえなかったと記憶しています。

 

ともあれ、予想以上に特定枠の活用がなされ、議論あれど無事制度が離陸したのではないかと思いますが…

やはり気になるのが徳島の40%を割った低投票率と無効票の多さの話…最終的には合区解消、特定枠に頼らない地域代表のあり方を是非考えていただきたいですね。

 

毎回恒例イベント、一票の格差訴訟が始まったようですが…生産性の低さはさておいて、ある方の指摘からこんなネタが気になりました。

 

「人口の少ない一人区は与野党対決(野党統一候補は特に)で選択肢が縛られているが、

人口の多い都市部では自公維/立国共社と有権者の選択にはバリエーションが与えられている。

そういう点では、投票価値以上の面で、都会の方が優遇されていないか。

今後も一人区は与野党対決、複数区では乱立状態が続けば、都会・地方間の条件格差はより拡大するのではないか。」

 

東京の背広を着た弁護士達が、都会的価値観で人口や投票価値、算数の議論をいつまでもしていても、国家国民の為にならないのでは…

特定枠はそれとして活かしつつ、この3年で合区解消や地方創生の議論がより前進することを願っております。