テレビを見ていてふと、昔のCMのフレーズ、
「ダヴなら、埴輪が有田焼になれた感じ」
を思い出しました。
同年代の方や少し上の年代の方なら、聞き覚えがあるかもしれません。
幼少期には笑っていましたが…改めて考えると荒れた肌を単に焼いただけの埴輪、しっとりとした肌を滑らかな陶磁器に喩えたセンスは中々のものです。
陶磁器が英語で「china」と呼ばれる他方で、「japan」と呼ばれるのは漆器。
今日は日本文化政策関係のある会議に出ていたのですが…この「漆」を巡る現状も中々厳しいようです。
かつて江戸時代に特有農作物として茶・楮(紙の原料)・桑と共に「四木」として栽培を奨励された漆も、現代では生産は10府県程度、その殆どが岩手県(浄法寺町など)。
生産量も1t程度であり、日本の文化財修復は質の高い国産漆で!という通知に反し、供給量が需要に追いつかないそうです。
じゃあ漆の木をじゃんじゃん植えれば良い、という訳でもありません。
安易にやればスギ花粉症同様、ウルシかぶれの被害が拡大しますし、そもそも漆が採れるようになるまで何年かかるかという話に。
会議の後に色々検索し、森林ジャーナリストの田中淳夫先生の記事を拝見しました。
輸入の多くを占める中国産漆については、質が低いというより日本と採取方法が違う、業者が水増しする等の事情があるだけで、漆の木の質は実は変わらない。
採取や精製をしっかり出来る職人が居なければ結局日本の漆も…という、些か頭を抱える内容でした。いやはや、楽観論よりはプロに現実を教えていただけるのは有難いです。
何事も理念、志を高く持つことは素晴らしい話ですが、それが先行し過ぎて周りを振り回してもいけない話。
単に森林と考えるなら林野庁ですが、わが国の文化と思えば文化庁、世界に発信/観光資源にするならまた別な役所も絡みます。
忙しいのは分かってますが、これは是非オールジャパンで臨むべきではないかと、勝手ながら思った一日でした。やはり、漆器=japanなのですから。
他にも英仏帆立戦争、体操等の話題が絶えない木曜でしたが、それはまたの機会に。